各種ビザの在留期間を更新する際や永住権(永住ビザ)を申請する際、判断要素のひとつとして公的義務の履行(りこう)というものがあります。日常生活を送る上での公的義務っていまいちピンと来ないですよね。そこで今回は公的義務についてわかりやすく解説していきます。
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まずは「公的義務」について確認!
納税はみんなの義務!
まず、入管法で定められている公的義務というものを超ざっくり言うと「納税や転居届などの役所関係のお堅い手続きはキッチリやってちょうだいね」ということです。まずはお金の話になりますが、日本の法律では納税義務がある人は納税をしなければいけませんし、健康保険や年金の保険料も支払わなければいけません。
住民税、所得税、相続税、贈与税、健康保険料、年金保険料など
上記の単語たちは生まれた時から日本で日常生活を送っている日本人にとっても聞き覚えがありますね。人によっては給与から天引きされていたりするので、納めているという実感が湧きにくいこともあるかもしれませんが、要するに「外国人だから」これらを納めなければならないというものではないんです。
届出も公的義務のひとつ!
例えば引越しをしたら転居届の手続きが必要ですが、外国人の方も例に漏れず手続きが必要です。入管法で言う【届出】には他に以下のようなものがあり、これらを改まって公的義務と言われるとピンと来ないですが、これらもれっきとした公的義務の仲間です。
いろいろな届出の種類
- 配偶者と離婚・死別した
- 転職をして勤務先が変わった
公的義務を履行していない時って?
税金をただ払えば良いというものではない!
前項で税金や届出の話をしましたが、これらはすべて期限内に行われていることが前提です。
- 国民健康保険の納付期限を1日過ぎてから納付した
- 引越しをしてから1か月後に転居届を出した
これらは「期限外」となります。転居の届出は新居に引越した日から14日以内に行っておく必要があります。
公的義務を履行していると認められるために
「だらしない」のはやっぱりNG!
日本の法律では納税義務がある人が納税をする・何らかの健康保険に加入してその保険料を支払うのは当然のことで、もしそれが(期限内に)できないのであれば、入国管理局(以下「入管」と表記)には「そんな基本的なことすらきっちりできないんだったら別にわざわざ日本にいてくれなくてもいいんだけどな〜」と思われてしまい、公的義務を履行できない人というレッテルを貼られてしまう可能性があります。
もしものための対策法
- 税金等の関係は口座からの自動引き落としにしておく(残高不足に注意)
- 引越しや転職の予定がある場合は届出期限を事前に確認しておく
「こんなんできて当たり前のことやろ!」と言われるとそれまでなのですが(汗)、今すぐできる物理的な対策を少しだけですが考えてみました。たった一度の「しまった!」が命取りになってしまってはいけないので、普段から先回りで行動する癖をつけておいても良いかもしれませんね。
過去に心当たりがある…そんな時は?
たとえば「過去に一度でも税金の納付が遅れていたら永住権は絶望的なのか?」と言われると、決してそうではありません。ビザの種類によって住民税・保険料の納付を証明する期間がそれぞれ定められています。参考までに一部をご紹介しておきます。
住民税 |
保険料 |
|
就労ビザ |
直近5年分 |
直近2年分 |
配偶者ビザ |
直近5年分 |
直近2年分 |
家族滞在ビザ |
直近3年分 |
直近2年分 |
例えば現在、就労ビザで日本に滞在中で永住権を申請しようとしている人が10年前に一度きりの未納があった場合、その未納に関してはいわゆる「時効」扱いとなるということですね。
まとめ
公的義務の履行とは?履行していると認められるための方法
- 公的義務とは役所関係のいわゆるお堅い手続きのこと
- 定められた期限内に行っておくことが重要
- ご不明な点は弊所までお気軽にお問い合わせくださいね!
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